狂乱の前奏曲(カットシーン3)
まったく……。ため息をつきたいのはこちらの方だ。
せっかく役目を演じきって、寝ようってときだったんだぞ。
それを、ラハブレアの爺さんが死んだからって、呼び出されて……。
本当に、エリディブスの心配症は厭になる。……お前もそう思うだろう?
なんだ、私のこともうんざりか。
まあいいさ、こちらとしても、今更お前に家族らしくされる方が面倒だ。
……状況をシンプルに捉えたまえ。ヴァリス・ゾス・ガルヴァスくん。
……我が「孫」よ。
いつものことながら、お前に決定権はない。すべきことを、ただ迅速に成せばいい。
エリディブスは面倒な奴だが……調停者としての選択は、まあ間違えることがない。
光と闇の均衡をとるにあたって、邪魔な因子があるというなら、排除してしかるべきだろう。
殺せよ、戦争でもなんでも使って。……そのために大きくした国だぞ?
この私……初代皇帝「ソル」がな。
おぅおぅ、いかにも……って顔だ。お前も、存外わかりやすい男だな。
同情……はしないが、多少なりとも哀れには思っているさ。知らないまま踊らされていた方が、まだ幸せだったろうとな。
国父ソルは、アシエンだった!
偉大なるガレマール帝国は、そいつによって、世に戦乱の種をまくため造られた国だったのだ!
……なんて。恨むなよ、これが私の仕事だ。
霊災を起こすには、大きな力がいる。
そのために影響力の強い手駒を作っておくのは、シンプルかつ効率的だ。
この仕事を、そこそこ長い間やってきたが……ガレマール帝国は、それなりに上出来な部類だといえる。
アラグ帝国ほどではないにしても、な。
無駄な労力を使わせるのはやめてほしい……。
それから、お前も皇帝なんだから、人がどうのという大志は、私でなく衆愚の前で垂れてやれ。
使命感に火をつけられれば儲けもの、使いやすい駒が手に入る。
さあ、すねている時間は終わりだぞ坊や。お前だって、理解はしているはずだ。
これは、人と世界を真なる形に戻すための闘い。
その点において、私たちアシエンとお前の目的は、一致しているだろう?